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京都国際映画祭2020開催の結果報告

2020年10月18日(日) お知らせ

オンライン映画祭として開催いたしました京都国際映画祭2020は、10月18日(日)以て会期を終えました。
今回の開催について、主な結果を報告させて頂きます。

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牧野省三賞・三船敏郎賞

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牧野省三賞
受賞者 大林宣彦


-- 受賞コメント --
※大林宣彦さん令夫人 恭子さんコメント

牧野省三さんは監督たちにとって映画の父です。大林に誘われて、昔の牧野さんの古いチャンバラ映画を断片ではありますがたくさん観た記憶がございます。日本映画の続きをやらせて頂きましたことを、大変うれしく思っております。このたびは本当にありがとうございました。


-- 牧野省三賞 選考理由 --
審査委員会 中島貞夫
映画ができて半世紀の間、映画監督になろうとすれば、まず撮影所に入り、修練を積まねばなりませんでした。しかしその道が閉ざされた時、大林宣彦は自ら自主映画を制作し、上映することに挑みました。1977年、7人の少女が一軒の家に食べられてしまうという映画『HOUSE(ハウス)』を公開した時、監督の道が自由に開かれることになりました。大林宣彦の作品群は、敗戦後の経験に根を下ろしており、昨年の遺作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』でも、戦争に明け暮れた過去をふり返り、日本の現在を見つめ続けていました。生涯現役を貫いた大林宣彦こそ、今年度の牧野省三賞にふさわしい。

三船敏郎賞
受賞者 小林稔侍


-- 受賞コメント --
お褒めの言葉をいただいて恐縮しております。思えば、昭和36年の10月末に、この京都に初めて仕事として通い始めて、今日この映画の聖地、映画の都で行われる京都国際映画祭で皆さまのご厚意で大林組の船に乗せて頂いて連れてきて頂きました。今日のこの想い、感動、感謝を忘れることなく、世界の三船様の冠の賞を、これからの俳優生活の糧にさせて頂きます。ありがとうございました。

-- 三船敏郎賞 選考理由 --
審査委員会 奥山和由
大林監督の『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』。この中での小林稔侍さんの存在感は素晴らしかったです。寂れた尾道の映画館で、最後の上映をする映写技術士の役を演じて頂きましたが、いぶし銀の優しさ、強さに裏打ちされた優しさ。それが、セリフよりも佇まいや存在感で表すことができる。これは日本映画本来の男優さんが昔から持っていたものですが、なかなか最近見当たらない。三船敏郎さんは今年生誕100年ですが、これは三船敏郎という偉大な俳優を原点に、本来引き継がれたものだと思う。この佇まい、存在感のすばらしさに、今年の三船敏郎賞とさせて頂きました。

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クリエイターズ・ファクトリー

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映像、音楽、絵画、写真、アニメ、CG、ファッション、工芸など様々なジャンルのクリエイターが表現できる場を作り、才能あるクリエイターの発掘、育成を目指し、世界に発信する公募型プロジェクト。 アート部門では、絵画、工芸、写真、立体造形などのアートジャンルが応募対象です。また、子どもの自由な発想から生まれるアートを対象とした「子ども部門」も設立されています。 「映像部門」「アート部門・子ども部門」全応募者を対象に審査員による選考が行われ、「映像部門」はオンラインでの上映、「アート部門・子ども部門」はよしもと祇園花月で展示を行いました。


映像部門 - 応募総数: 101作品
アート部門 -応募総数: 147作品 (アート部門: 93作品、子ども部門: 54作品)

 

エンターテインメント映像部門
グランプリ:山元環監督『ブラック』
優秀賞:渡部健人監督『ZACO』 
優秀賞:シーズン野田監督『外郎女』
優秀賞:野本梢監督『アルム』
優秀賞:碧嵐澄士監督『LOVE WATER FIRE』

 

アート部門
優秀賞:田中良典さん『国民的再生図』

 

子ども部門
優秀賞:中島そよさん(5歳)『チューリップDJ』

 

-- エンターテインメント映像部門 グランプリ 山元環監督『ブラック』 --
僕ら兄弟3人、コロナがきっかけで3人でやっと一緒にモノがつくれる時間ができたので、暇ではなく自粛期間中も忙しかったです。世の中的にはネガティブな流れになりましたが、自分たちはポジティブに動け、原動力としてはすごく未来が明るいんじゃないかなという気がしていたので、今回グランプリを頂けて本当によかったです。

-- アート部門 優秀賞 田中良典さん『国民的再生図』 --
今年の2月に再生をテーマにして、AIなど最先端科学による新しい人間感を描くつもりで制作を進めていましたが、同時期に起こった世界的な感染症の拡大に影響を受け、コロナ禍を超えた先にある新しい生命感という、よりスケールの大きなこれからの世界の再生を描きました。このたびは優秀賞に選んで頂き、誠にありがとうございました。二度目の受賞ということは正直ありえないと考えていたため、驚き慌てましたが、この作品に込めた想いが審査員の方々に届いたのだと非常にうれしく感じています。

-- 子ども部門 中島そよさん(5歳)『チューリップDJ』 --
楽しかった。

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開催期間中、オンラインプログラムは
約166,000の視聴数を記録

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2020年10月15日(木)から18日(日)までの4日間、オンラインを中心としたプログラムは、約166,000の視聴数(有料・無料を含む)を記録。
初の試みとなった、オンラインでの京都国際映画祭2020は、多くの方々にご視聴・ご体験頂きました。

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映画上映本数: 102作品、アート作品数: 43作品
参加アーティスト: 36名 実施アート: 12企画

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映画祭期間中の映画の上映作品本数は102作品となりました。オンラインにて上映され多くのお客様にご視聴いただきました。

また、アート作品数は、43作品となり、祇園花月にてクリエイターズ・ファクトリーのアート部門・子ども部門の展示が行われ連日、多くのお客様にご鑑賞頂きました。

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オンラインにて授賞式を生配信

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10月17日(土)によしもと祇園花月と吉本興業東京本社を繋ぎ、オンラインにて授賞式の模様が生配信されました。
「牧野省三賞」を受賞された故大林宣彦さん、「三船敏郎賞」を受賞された小林稔侍さん、クリエイターズ・ファクトリーエンターテインメント映像部門・アート部門・子ども部門の授賞式が行われました。

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京都国際映画祭テーマソング

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プロデューサー・立川直樹氏の呼び掛けにより、京都国際映画祭のために「Kyoto Film Festival Band」を結成。

作詞と作曲を手掛けるTAKURO(GLAY)さんと音楽プロデューサー・佐橋佳幸さんとの強力なタッグで京都国際映画祭テーマソング「KYOTO踊ろう ASHITATO歌おう」を制作。ボーカルには、海宝直人さんと中村 中さんが参加し、京都市立梅小路小学校6年生の生徒達もコーラスで参加。

京都から発信される国際映画祭にふさわしい、老若男女が口ずさめる楽曲に仕上がりました。

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大林宣彦の玉手箱―ワンダーランドな空想映画館―をはじめ
特別招待作品、サイレント/クラシック映画、アーカイブ特集
地域発信型映画など多彩なラインナップをオンラインで上映

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【特別招待作品】
『女優たち』、『リスタート:ランウェイ~エピソード・ゼロ』 他、全10作品
【サイレント/クラシック映画】
『活弁でGO!Vol.1~東京初上陸~』、『国定忠次』他、全19作品

【大林宣彦の玉手箱―ワンダーランドな空想映画館―】
『大林宣彦「テレビコマーシャル」傑作選』 『ÉMOTION 伝説の午後=いつか見たドラキュラ』 『海外特派員 ある映像作家の場合』他、全15作品
【京都国際映画祭アーカイブ特集】
『at Home』『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』『多十郎殉愛記』他、全8作品

【地域発信型映画】
愛知県幸田町『せみのこえ』、富山県射水市『#放生津カンタータ』他、12作品
【映画祭連携企画】
京都国際インディーズ映画祭2作品上映
京まちなか映画祭1作品上映
京都大学東南アジア地域研究研究所5作品上映
京都国際子ども映画祭1作品上映

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『華のあるまち』をテーマに、様々な切り口の動画配信を実施

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【生配信】
今回の京都国際映画祭では有料生配信として2つのコンテンツを配信しました。
ダブルアートタグによる『頭裸裸』オンライン上映会~京都国際映画祭2020~
京都国際映画祭2020デジタルえほんをつくろう!~祇園櫻井が描いたキャラクターを中村真鈴が動かしてみよう~

【動画配信】
「京都」「島原」等をモチーフに10企画を動画配信
SHIMABARA~日々にさく花~
foraged ikebana 03:Umekoji park
伝統が前衛作品を生み出す京都の風土
よしもとアーキグラム『宇宙で茶会を開いたら』~雲母唐長と、宇宙の「芸術利用」-協力 JAXA~
TED×Kyotoより「Nippon-Ga,paintings that depict the multi-faceted Japanese culture」
島原シアター

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SDGs関連イベントを開催し、SDGsのメッセージを伝えました。

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【SDGs-1グランプリ2020】
「SDGs-1グランプリ2020」では、今、注目の芸人にこの17の開発目標からひとつ選んでもらい、その項目をテーマにネタを披露。誰がいちばん笑いを交えてわかりやすく、楽しく伝えることができるかを競いました。
コウテイ、すゑひろがりず、見取り図、3時のヒロイン、小泉夫妻、アインシュタイン、佐久間一行、ミルクボーイの8組によって争われ、 佐久間一行が優勝に輝きました。副賞として、佐久間はよしもとSDGsアンバサダーに就任。1年間、よしもとのSDGsの様々なお仕事をしていきます。


【MBS「SDGsリポートコンテスト」】
『京都国際映画祭』とMBS『ゴエが行く!らいよんチャン SDGsニュース!』のコラボレーション企画 『私のオススメこんなことやってます! MBS SDGsリポートコンテスト』が開催。『身の回りでSDGsを取り組んでいること』をテーマに、30秒以内のリポート形式の動画を募集。応募総数83作品の中からグランプリに選ばれたのは、岸岡梨実衣さんによる「買い物ヒーローへの道」。買い物に行く際はエコバッグや買い物リストを持参し、賞味期限が短いものから買っていくなど買い物での意識をPRしました。

 

【DARE?オンラインミュージアム】
この芸人いったいだあれ?
2019年京都国際映画祭にて立ち上がった人気芸人の肖像画アートのアパレルブランド「DARE?」プロジェクト。「異彩を、放て。」をミッションに知的障がいのあるアーティストが描くアート作品の社会実装を通じてイメージ変容にチャレンジしているヘラルボニーとのコラボレーション企画。
知的障がいのあるアーティストたちと人気芸人によるトークセッションを開催し、ぺんぎんナッツ、3時のヒロイン、おかずクラブ・ゆいP、ゆりやんレトリィバァが出演しました。

【京都国際映画祭×イオンモール「よしもと人気芸人がデザイン!百鬼夜行マイバッグ展示会」】
イオンとよしもとは、海洋プラスチックごみ問題などの課題を抱えるプラスチック製レジ袋の過剰な使用を抑制し、SDGsの観点からも、使い捨てのライフスタイルを変えていくメッセージを発信する『イオン×よしもと みんなで#マイバッグキャンペーン』を実施しており、京都国際映画祭×イオンモールの中でも、この取り組みを発信するべく、京都芸術大学との特別コラボ企画 「よしもと芸人 百鬼夜行デジタルラリー」との連動企画として、よしもと芸人が妖怪をデザイン。よしもと芸人が描いた妖怪をマイバッグ(エコバッグ)にして、百鬼夜行展示会を実施しました。

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総括コメント

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京都国際映画祭アートプランナー
おかけんた

戦前は新聞で出来事を知り、戦後はラジオで歌を口ずさみ、昭和はテレビで旅に出掛けた気分になり、平成ではパソコンやスマホであらゆる情報を得ることが出来るようになった。そして令和ではオンラインにより「繋がる」という新たな価値観を得て、時間(24時間)と距離(世界)の制限から解放され、利便性だけではなく、より良い質(完成度)が問われるようになった。そんな最中、京都国際映画祭の公募展「クリエイターズ・ファクトリー」の審査員を今年務めることになった。アートにはアート部門と子ども部門があり、子ども部門のキャプションには作品名、氏名、年齢が書かれており、年齢以上のクオリティと子どもらしさを基準に審査を実施。作品の中には鳥や魚、花などをモチーフにしたものの他、コロナ禍を象徴する「テレワーク」をタイトルに制作された作品もあり、リモートで「繋がる」ことの影響力の大きさに驚愕。結局、DJの曲に合わせて踊った時の楽しい思い出と好きなチューリップを題材にしながらも、片隅にマスクが描かれていた「チューリップDJ」(5歳)が色のバランスがよく子どもらしさもあり、優秀賞を受賞。ここで私が気付かされたのは、その「らしさ」。果たして、オンライン映画祭でも京都国際映画祭らしさをお届けすることができただろうか。7年目としてのクオリティを保つことはできていただろうか。そんなことを自問自答しつつも、映画祭と自分自身との繋がりがより深いものになっていったことは確か。来年は京都国際映画祭も8歳。子供でいえば、もうワンランク上のものに興味が湧いてくる年代。今年アートで企画した、ステイホームから宇宙までを超えるものを皆様にお届けできるよう、頑張っていきたいと思っています。あぁ、#映画好きとアート好きと繋がりたい。

京都国際映画祭総合プロデューサー
奥山和由

やれることは全てやったつもりでも正直いって暗中模索、意外にリアクションがあったり無かったり…。
計算違いだらけでした。
しかしこの配信ワールドにも必ず将来に繋がる確かな手応えがいくつもありました。
歴史的不可抗力がない限り生まれなかったこの財産を生かし、次回以降を発展させたいと痛感してます。

京都国際映画祭実行委員会 名誉実行委員長
中島貞夫

今回の映画祭は、オンラインを使っての映画祭です。
“えっ?!、なに?!、それ?!”
映画祭と言えば映画の作り手と受け手とが一堂に会し、時間と空間を共有しながら映画を楽しむ又と無い機会。そう信じていたのだが、コロナ騒動の余波とはいえ、映画祭も様変わりせざるを得なかった。
一体どんな評価が下されるのか。 “ええい、なるようになれ!”
決して捨て鉢ではなく、若い人達の英知と実行力を信じながら、その末端で、老兵なりにお役に立てればと念じている。

京都国際映画祭実行委員会 実行委員長
中村伊知哉

映画もアートもその他もぜんぶ、京都国際映画祭。今年はオンラインでやらせて頂きましたけれども、思ってた以上に全国各地の皆さん、そして海外の皆さんにもご覧を頂きまして、オンラインでやった事の新しい可能性というものを感じました。今回は、映画もアートもその他も様々な新しい取り組みを皆さんにお届け出来たのではと思いますが、来年また、京都の町全体、東西南北をリアルに使ってリアルとバーチャル、オンライン・オフラインを合わせたハイブリッドな形で、また新しい映画祭をお届け出来ればと考えています。
来年以降もどうぞよろしゅうにお頼もうします。

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開催概要

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【日程】
開催:2020年10月15日(木)~18日(日) 4日間開催
【主催】
京都国際映画祭実行委員会
【運営】
株式会社きょうのよしもと
※京都国際映画祭実行委員会より運営を委託された会社です。

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